閑話 その9 フィボナッチ数列と黄金比 

フィボナッチ数列{1,1,2,3,5,8,13,21,34・・・}と黄金比 Φ には、いろいろな関係がありそうです。
フィボナッチ数列 { Fn } の定義式は F1=1、F2=2、 Fn= Fn-1 + Fn-2  (n≧3)(以下、この関係式を漸化式とよぶ。)でした。定義式からフィボナッチ数列の各項はすべて整数であることは明らかですね。このとき、n番目の数をいちいち足していかなくても求められると便利ですよね。つまり第n項を直接求められる式がほしいわけです。数学では、数列の隣接3項間漸化式から一般項を求める問題を解いた人にはお馴染みですが、ちょっと考えてみましょう。
フィボナッチ数列の漸化式 Fn Fn-1 + Fn-2 ・・・①に準じて rn = rn-1 + rn-2 ・・・②を満たす(ゼロでない)r の累乗 rn の数列が存在するか調べてみましょう。②の両辺を rn-2 で割ると、 r = r + 1 つまり  r - r - 1 = 0

$$r=\frac{1+\sqrt{5 } }{2},\frac{1-\sqrt{5 } }{2}$$ ここで、閑話その6の表記を使って $$\phi=\frac{1+\sqrt{5 } }{2},\phi'=\frac{1-\sqrt{5 } }{2}$$

とすると r = Φ または r = Φ’ のとき、累乗 rn はフィボナッチ数列の漸化式①を満たすということです。このことから、
問1 A と B を定数とするとき、任意の数列 Kn = A Φ+B Φ’ ・・・③も①の漸化式を満たしていることを確かめてください。
問2 ここで K1K2 を 1として、A と B を求めてください。

以上のことと、$$\sqr{5}=\phi-\phi'$$ を使うと、フィボナッチ数列の一般項 Fn は、

$$F_n=\frac{\phi^n-\phi'^n}{\phi-\phi'}=\frac{1}{\sqr{5 } }\left[\left(\frac{1+\sqr{5 } }{2}\right)^n-\left(\frac{1-\sqr{5 } }{2}\right)^n\right]$$  ・・・④


となります。この④の式からはフィボナッチ数列の各項が、整数になるようには見えませんね。
問3 ④の式で最初の何項か実際に(工夫して)計算してみましょう。(その6の復習)