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2023年11月の記事一覧
佐倉アクティブ「科学分析で過去を探る」
8月2日(水),3日(木)に佐倉アクティブ「科学分析で過去を探る」が行われました。
この講座は、大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館との連携により実施しました。国立歴史民俗博物館は佐倉市にあって本校からも近く、歴史好きにはおなじみの施設ですが、今回のテーマは「科学分析」。講座の前は、「歴史」と「科学」の結び付きがピンとこない生徒もいたようです。
初日は、国立歴史民俗博物館教授 坂本 稔先生に来校いただき、放射性年代測定や年輪年代学についてのレクチャーを受けました。炭素14年代については高校の化学や地学でも学びますが、炭素14は宇宙からやってくる宇宙線のはたらきでつくられ、大気中の濃度には変動があります。そのため補正(暦年較正)が必要であり、年輪年代測定のデータと比較することが欠かせないことを知りました。また、その補正に、2013年から日本(福井県水月湖)のデータが使われていることも知りました。
2日目は博物館を訪問し、バックヤードで電子顕微鏡や赤外線を用いた分析装置などを見学しました。また、年代実験室で多くの古い木材を前に、国立歴史民俗博物館准教授 箱﨑 真隆先生に御説明をいただきました。ここで特に驚いたのは「炭素14スパイクマッチ法」という、年代測定方法についてです。樹木年輪の研究によって、西暦775年に平年の20倍もの急激な炭素14の上昇があることが発見され、様々な地域の樹木で775年の年輪が特定できるようになったことを知りました。この方法によって、火砕流に埋もれた樹木から噴火の正確な発生年がわかるなど、たくさんの新たな知見がもたらされました。さらに、この急激な炭素14は太陽のスーパーフレアが原因と考えられ、宇宙からやってくる災害に備える意味でも、重要なデータになるのだそうです。
生徒からは、「全く関係のなさそうな二つの物事が意外なところでつながっているのではないかと考えることは今後の探究活動にも大きく生きるものだと思った」、「歴史という研究対象でも文系的なアプローチと理系的なアプローチの両方を行うことで多くの発見をしてより深い理解ができていることを実感できた」といった感想がありました。佐倉市に最先端の研究機関があることを改めて知った2日間となりました。今後も、国立歴史民俗博物館と連携し、文理横断(文理融合)的な観点から、視野を広げたり、思考を深めたりしていきたいと考えています。
佐倉アクティブ一覧は以下のリンクからご覧ください。